ニュース記事をから判断すると、絶対的に非があるのはお店側です。
それでも、この事件が起こった原因は、2つ可能性があると感じました。
- 客の態度に不満があったか（客の態度は悪くないのに、忙しさのあまり逆ギレ）
- 単なる注意不足によるミスか、オペレーションの問題
もし故意でやったのなら、個人の資質が問われそうです。
そして「高級店」「老舗」の名前にあぐらをかき、従業員教育や待遇をおざなりにしているお店といえます。
今回は、故意に漂白剤入り水を入れてしまったという前提で、従業員の心理について想像してみました。
他店や他店舗でも同じことが起こりうるのではないか、と思うのです。背景を見てみます。
「銀座 天一」漂白剤入り水で食中毒「苦しむ妻に店員は『ここで吐くと迷惑です』と…」被害者が告発
ニュースより
銀座天一の料金
ホームページによると
食中毒が起きたのは8月31日の夕方のことだった。
経営コンサルタントの男性が、席を予約した上で、午後6時ごろに夫婦で訪れた
18時頃ということは、DINNER料金ですね。
梅16,500円 桃22,000円 桜27,500円 ここにサービス料15%が加算されます。
さすがにホスピタリティの高さを強調しているだけあって、お値段も高いですね。
天一のカウンターでは、世界中のお客様が集い、夜ごと華やかな饗宴を繰り広げています。揚げ場はその中心にあり、揚げ方はいわばオーケストラの指揮者のようなものです。このひと時を楽しむお客様と、もてなす側の心のハーモニー。それは茶道で言う“一期一会”の場面です。常に最高のお食事とサービスを提供し続けること。
天一HPより引用
一回のお食事に数万円、それだけの価値があるお店だと思いますよね。
工夫を凝らした品質の高い料理・サービスを提供するお店。
期待感を胸に、お食事に行かれたことと思います。
ホールスタッフの時給
このような高級なお店のパート、アルバイトの時給はいくらなのでしょうか。
お値打ち価格で天丼を提供する「天丼てんや」と比べてみます。
料理の値段が10倍以上高いのに、働く人の時給は安い！
今、google検索してみたら、どのサイトでも求人情報は削除されています。闇を感じます。
人手不足というより、賃金不足ですね。
安く人を使い、人手不足を理由に一人にかかる負担を増やしています。
座席数に対して
2人はカウンター席に案内され、まず男性の妻が、喉が渇いていたため氷なしの水を所望した。
水は届かないまま、夫婦は料理を注文して、さらに飲み物を注文した後（ウーロン茶）、ドリンクメニューを持って厨房へ戻ろうとする中年の女性店員に、
妻が再度、「お水が先ですよ、お願いします」と声をかけた。Flash記事より引用
| 銀座 天一 | |
|---|---|
| フロア | 銀座三越12F |
| 座席数 | 34席 (内、カウンター席12席、テーブル席24席） |
店員の数はどれくらいだったのでしょうか？
2~3人？
だとすると、氷なしのお水。面倒だと思ったのかもしれません。
天一だけの問題ではない
高級店、高級ホテル、高級感を全面に出しながら、そこで働く人間を軽視していると感じています。
従業員への犠牲を強いることによる「お客様第一主義」や「おもてなし」。
それによってブラック労働を忌避する、従業員が集まりません。
”おもてなしには、対価が発生する”と社会的にも認められて、従業員に還元してほしいものです。
サービス料からチップ制へ
天一の料金表を見ると、サービス料15%とあります。
ホテルや高級レストランではサービス代金の何%かを上乗せして「サービス料」として請求されていることが多いです。
しかし、サービスを期待して、支払うのに、料金に見合ったサービスがされていないのでは？と思うのです。
なぜなら、そのサービス料金が働く人に直接的に還元されていないからです。
出来ることなら、お店にサービス料を払うのではなく、チップ制にしてみるのはいかがでしょうか？
働く側も、モチベーションが上がります。色々難しい問題ではありますが、検討の余地はあると思います。
お店選び
HACCPの導入をしているお店でも、現場に行き渡らないのなら、意味がありません。
感じの悪いお店は、たとえ高級店でも、避けたほうがいいです。
働く人のモチベーションが低下している職場は、空気がおかしいです。
賃金だけの問題ではありませんが、報酬が高ければ頑張れるということもあると思います。
お店を選ぶときは、現場スタッフに笑顔があるか、忙しすぎないか、不満そうでないか
みてみるのもいいかもしれません。
おわりに
今回のケースは、基本的な(化学物質の)管理手法がなかったことから起きた事故だと思いますが、
もし故意にやったのだとしたらと、背景を考えてみました。
ただし、どんな理由があろうともこのケースは、犯罪です。許されないことです。
被害に遭われた方は、お気の毒です。無事回復されていることを切に願います。
消費者側もお店を選ぶときは、たとえ老舗でも高級店でも、宣伝に騙されないように観察して見る必要がありそうですね。（現場のスタッフに笑顔があるか、忙し過ぎないか、労働が賃金に見合っているか）
