第64回の放送で、梅子(平岩紙)は高笑いの後、敗北宣言をしました。
夫・徹男が亡くなり、妾も交えた泥沼の相続争いを抱えた意外な顛末でした。
最後に見せたこの梅子の高笑いは衝撃的でした。
まさかまさか頼もしいと思っていた三男が・・・・ネタバレありです。
梅子の3人の子どものそれぞれの主張
梅子の長男・大庭徹太(見津賢)は、自身も弁護士であるにもかかわらず、旧民法下での家長としての権利を主張する。
梅子と弟たちに相続の放棄を迫る。
次男の大庭徹次(堀家一希)は、「母さんだけ放棄すればいい」と言い出す。
三男の大庭光三郎(本田響矢)は、祖母・大庭常(鷲尾真知子)に扶養に入りたいと言われた時に、
「お母さんに意地悪しない」ことを交換条件に掲げる。(つまり自分が相続する、世話はお母さんと思っている)
この3人の息子の態度から読み取れるのは、
母を家に縛りつける。母は家のために犠牲になって当然。
その考えがベースになっていることがよくわかります。
昭和25年の頃の話ではありますが、令和になってもそれは変わっていないのでは?と思うのです。
時代がかわっても、制度が変わっても、人の心はなかなか変わらないのかもしれません。
三男の裏切り
驚いたのは三男です。
直前の回で、祖母や2人の兄のひどい発言がある中、三男だけはまともな人間に育っている。
このことがせめてもの救い。と思わせる場面でした。
「この子だけは夫のようにしたくない」
と、三男だけは彼女が手元に置いて、まともな価値観を持つように育てたつもりでした。
それがそれが、父である大庭徹男( 飯田基祐)の妾だった元山すみれ(武田梨奈)と通じてたなんて。
光三郎といえば、梅子にとって唯一、味方のような存在。それだけに、大場家での家族会議では梅子は「何かの間違いよね」と確認したが、光三郎は「お母さんはすみれさんを誤解している」「仕方ないじゃないか。好きなんだ!」と言い放つ。すみれは勝ち誇った表情を浮かべていた。 梅子は光三郎の言葉を聞き、壊れたように「おーほほほ!」と高笑いし「もうだめ。降参。私は全部失敗した。結婚も家族の作り方も、子供の育て方もぜーんぶ」と言い放ち、「ごきげんよう」と捨てゼリフ。家を出て行った。
yahooニュースより
よりによって梅子にとって一番そうあってほしくない相手だったはずです。
尽くして大切にしてきたことすべてに裏切られたと思った瞬間だったと思います。
母親にも自我があり人格があり尊厳がある。
一人前に扱われなかったら、泣きも怒りもする。
そんなこともこれっぽちも考えたことのない大庭家の家族たち。
自分が人生を犠牲にして尽くしてきたのに、それなのにこんなもの?こんなふうな仕打ちなの?
という徒労感と呆れと諦念が入り混じった、どうしようもない感情があの高笑いだったのだと思います。
無意識の偏見
気になったセリフがあります。
姑(鷲尾真知子)呆然として「あんた私を捨てるのかい」?
どの口が!ですよね。
梅子の長男・徹太(見津賢)も自ら育てあげ、梅子には子育てをさせず、厳しくあたり
全く尊厳も無視して人がよく言いますよね。
相続放棄
相続も放棄して大庭家の家族でいることをやめて出ていく決意をした梅子。
そんな思い切ったことができたのもあるきっかけがあったからだと思います。
それは、
第64回の寅子によるラジオでのスピーチです。
寅子(伊藤沙莉)が憲法と民法の改正によって女性の境遇は変わったと説いたのです。
「やっと戦うことが出来る、報われる、誰かの犠牲にならずに済むようになった。女性たちが自ら幸せを掴み取ってほしいと思います」
それを梅子は聴いていたのでした。
その言葉が梅子を後押ししたのではないかと思うのです。
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虎に翼の脚本はすごい!と唸るばかりです。
心に刺さる名セリフがたくさん。
脚本家は吉田恵里香さん。
安易なご都合主義的なこともありません。
週刊文春オンラインの記事では、現役の弁護士さんも絶賛されているようです。
”日本のリーガルドラマは用語その他内容が不正確で、嫌な気分になることが多いのでほとんど観ないんです。”と。
毎朝のようにSNSのタイムラインを席巻している「虎に翼」。主演・伊藤沙莉(30)が日本で初めて弁護士になった女性を演じているが、今作が多くのリーガルドラマ(司法ドラマ)と違うのは、現役弁護士たちの心も掴んでいることだ。
今後の展開も楽しみです。
おわりに
【朝ドラ虎に翼】梅子(平岩紙)なぜ高笑いして敗北宣言までしたのか
「降参」「白旗」という表現を使って泣き笑いのような高笑いをした理由は、
- 「どいつもこいつもクソ」で自分勝手な息子たちの教育の失敗、その中でも三男の裏切りが決定的だった。
- ぷつりと糸が切れて今までの自分への決別をする高笑いかな?
- 背後にある根強い家父長制への敗北を思い知らされた。
ことだと思います。
梅子役の平岩紙さんの演技、姑役の鷲尾真知子さん、このお二人の演技力もこのシーンの凄さを
際立たせていました。